1986年、米国生物学者のコーエン博士はEGF(ヒトオリゴペプチド-1)
なる上皮細胞増殖因子の発見でノーベル医学生理学賞を受賞しました。
このEGFなる物質は、生体にもともと存在しているもので、
アンチエイジングの切り札のような存在の成分です。
簡単にいえば、EGFが肌に取り入れられると、DNAに働きかけて
元気な細胞を続々と作ってくれるという、まさに夢のような成分。
なので医療はもちろんスキンケアの世界でも、大注目されて当然です。
ちなみに火傷、怪我などの治療に使われてきたこの成分は、
発見当時、たった1gで8000万円!
10数年を経て原料代が比較的お安くなったようで、
ここ数年ぼちぼちと、昨秋くらいからは続々と、
EGFを配合したアンチエイジング化粧品が発売されています。
でも私的には素朴な疑問があるんですよ。
医療の分野=怪我とかで傷口があいていれば問題ないのですが、
普通の肌の場合、角層から奥に浸透できる分子量は、およそ1000ダルトン以下
といわれています。っていうか、1000を超えると極めて困難なのだそうです。
でもEGFはそのままだと、6200ダルトンなんですよね...。
10万~20万といわれるコラーゲンや、
100万以上とされるヒアルロン酸と比べればはるかに小さいですが、
でも6200じゃ皮膚の上にのったまま、入らない。
そしてEGFの受容体(ココに届かなくちゃ意味がない)
があるのは肌の表面ではなく奥。
この大きさじゃ、マシンを使ったイオン導入でも無理です。
でも配合しただけと思われる製品が、フツーに販売されています。
(現在、化粧品に配合されているヒアルロン酸は、ほとんどのものが
浸透しやすい低分子になっています。またコラーゲンも低分子のものが主流です)
EGFをナノ化(浸透可能なように極小化)したという成分は、
浸透はするでしょうが、肌に届いた時点でも、
ちゃんとEGFとして細胞に認知されるのでしょうか?
コスメフリークの方なら、たぶん同じ疑問を持った方もいらっしゃるでしょう。
ちょっと近々医大研究者系の方に伺ってみるようにします。
話に「オチ」がなくてごめんなさい。
今日は突然、午後からこのことで頭がいっぱいなモノで。
多くの人にはツマラナイ話かもしれませんが、
でもコスメに関わる者にとってはすご~く大事な話なんです(笑)